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留学体験談「留学体験 今昔」

昔の留学⑬ Aprender a vivir la vida(生き方いろいろ)

池田 朋洋 助教(スペイン語)
派遣先:スペイン・バルセロナ バルセロナ自治大学
派遣期間:2008年9月~2009年8月(1年間)
皆さんはどうして留学に行きたいと思いますか?私は留学当初、自分の語学力を現地(スペイン)で磨きたい、現地の文化を直接体験したり学んだりしたいと思って行きました。そしてそれらの目的は実際に留学を通してある程度達成できたと思います。でも留学から10数年経った今改めて振り返ると、本当に大きな学びだったのは、日本社会で生きるのとは異なる「生き方」があり得るという実感・体験だったと思います。
おそらく多くの留学経験者の方と同様に、私の留学も最初から驚きの連続でした。到着した初日に日本で事前に手続きをしたはずの大学寮に行くと、事前手続きの内容が全く反映されておらず、とりあえず空いていた部屋に急遽入れられました。しかも同居人は何故か学生ではなく、その大学とは何の関係もない社会人2人でした。話を聞くと寮の管理人と仲が良くコネで無理やり入れてもらったとのことでした。結果的に2人はとても良い人で、今でも友人としての付き合いが続いています。
その他にもビザの更新手続きで長期間待たされたりと、最初の方はとにかく「なんでこんなに適当なんだ!」、「もっとちゃんとしてほしい!」と思うようなことばかりでした。ところが半年過ぎたくらいから徐々にそういう感覚が減っていきました。別に現地の人々の対応が変わったわけではありません。単に私が「慣れた」のです。いつも大混雑のスーパーで、レジに人が大勢並んでいるのに店員さんがのんびり雑談していること。お客さんがそれに怒ることもなく、一緒に雑談すること。レジの列がちっとも進まなくても、私はそういった光景にイライラしなくなり、むしろ快適に思えてくるようになりました。日本は「お客様は神様」文化ですが、スペインはどうやら顧客の立場より、労働者としての立場の方に皆が共感するようです。ある時、営業時間ギリギリにお店に入ったら、一緒に入った友人に「店員さんにお礼言わなきゃね」と言われて気づきました。
こうした感覚の違い、「生き方」の違いは、日本に帰ってきてから、元来真面目なタイプだった私にゆとりをもたらしてくれました。留学している当時は衝撃こそあれ「スペイン人ってのんびりしてるなあ」くらいの感想だったのですが、その後大学院で研究者として難しい時期を送っているときにふと思い出しては、「あんな生き方もあるんだよな」、と支えになりました。自分が想像した生き方が一度壊れて拡張されること。それによって自分の生き方の可能性や幅が広がること。これが私が留学から得た最も大きな財産だと思っています。

留学中の旅行先(サルデーニャ)にて

旅行先のサルデーニャにて

留学中の旅行先(セビージャにて)

旅行先のセビージャにて

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