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2011年08月01日中国語学科

国際問題を越えた落涙 - 3度目の留学で中国を知る

下條一直さん(中国語学科・鹿児島県 私立 神村学園高等部)

2010年、日本を含むアジア諸国の国際情勢はとても不安定でした。北朝鮮による韓国延坪島砲撃、日中間では尖閣諸島問題が発生し、中国国内では各地で反日デモがおこっていました。
 

そんな2010年8月、私は拓殖大学の交換留学生として中国・北京に留学しました。
 

実は北京・北方工業大学に留学に来るのは長期研修で8ヶ月過ごして以来2回目であり、同じ場所に留学することに反対する先生もいらっしゃいました。しかし、敢えて慣れ親しんだ環境を選んだのには理由がありました。
 

前回の留学では毎日が慌ただしく過ぎていき、中国語を勉強するということにしか重点をおくことができず、語学以外に得たものはあまりありませんでした。日本に帰国後、語学以外にもやるべきことがたくさんあると感じ、再度北京に留学することに決めたのです。
 

北京に着いて数日後、中国の知人が自分を野球チームに誘ってくださいました。小学校から高校まで野球一筋。高校では勉強など全くせず野球に打ち込んでいた自分にとってはこの上ない機会でした。
 

中国で野球は日本ほど人気、知名度はなく、とてもマイナーなスポーツですが、北京で働いている日本、中国、韓国などの社会人、留学生を中心とした20近くのチームがあり、毎週末にリーグ戦を行なっています。

自分は清華大学の卒業生を中心とするチームに唯一の日本人として参加させてもらいました。しかしチームに参加するにあたり、チーム内唯一の日本人として、さらに日中間では尖閣諸島の問題があり上手くやっていけるだろうかと不安でした。
 

私は一般の中国人は日本に対してあまりいい印象を持っていないと勝手に思い込んでいました。ですから、チームメートとの会話もほとんどなく、淡々と練習をして試合をいくつかこなしていました。

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前列右から二人目が筆者

そんな中むかえた決勝トーナメント進出をかけたある試合で、私は大失敗をしてしまいました。相手は北京の駐在員からなる日本人チーム。負けず嫌いな性格、ましてや日本人相手には絶対に負けたくない気持ちで先発投手としてマウンドに上がりましたが四球を連発。おもいっきり空回りの自分のせいでチームは大敗してしまいました。
 

試合後、チームメートに申し訳なくベンチの片隅でうつむいて今にも悔し涙を流しそうな私にある中国人チームメートが声をかけてきました。「君みたいな日本人もいるんだね!日本人は真面目で感情を表に出さないイメージだったけど、君をみて日本人に対してのイメージが変わったよ。ひとつのことに一生懸命に責任感を持って取り組む君の姿勢に感動したよ。一緒にプレーできて本当に楽しかった」
 

この言葉を聴いた瞬間、悔し涙が感激の涙となって流れてきました。自分みたいなちっぽけな人間が一生懸命やることによって言葉、文化も違う外国人に認められ得たということに心の底から感激しました。試合は大敗してしまいましたが、この出来事をきっかけに私の考え方は180度かわりました。その後は私もチームの一員として溶け込み毎回充実した時間を過ごすことができました。
 

私は野球チームに参加し、中国人と一緒に活動することにより教室では学ぶことのできない多くのことを学ぶことができました。今では中国人に対して勝手なイメージを持ち心を閉ざしていた自分が本当に恥ずかしく思えます。
 

実際、日中間にはさまざま問題があります。しかし皆さんはどれだけ中国のことを知っていますか?どれだけ日本のことを知っていますか?留学をすればその国のことを知ることができるだけでなく日本の良い点、悪い点を知ることができます。それが留学の大きな魅力でもあります。
 

特に中国は日本の隣国であり今後日本にとっても大切なパートナーとなるはずです。中国でのこれらの経験は今後の自分にとって財産となるでしょう。
 

在学中に3度も留学させてくれた大学には本当に感謝しています。私は留学したことにより自分を大きく成長させることができました。留学といっても100人いれば100人それぞれの留学があります。みなさんも留学でいろんな経験をして自分を成長させてみませんか?

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